悲しいくらいに強い理由

 新曲の証拠が良い曲だ、心に響くと好評だ。彼らの力強い歌声がこの歌詞とバンドサウンドにマッチして、名曲を生み出した。このCDには重岡君の作った間違っちゃいない。も、神山君藤井君が作ったANSも収録されている(B盤)が、驚くほどどの曲も良いし、形は違えど頑張る人を鼓舞する応援歌のエッセンスがある。

 

 彼らが作った歌詞を見て改めて思うけれど、これまで相当な理不尽や逆境に晒されてきたんだろうなと思う。だってジャニーズのアイドルと言ったら、何かこう、女の子を魅了するような、ちょっと歯の浮くような歌詞とか、明るいライトでポジティブな歌とか、そんな歌のイメージがあるじゃない。こんな、何かに自信をなくして自己肯定したいけどできないとか、逆風に負けずに踏まれても蹴られても負けへんぞとか、そんな骨太で男くさい歌、あの事務所のアーティストからっていうのが繋がらないというか。TOKIO関ジャニぐらいだろうか。とにかく若手グループはもっとキラキラヘラヘラチャラチャラしてる印象(ごめんなさい)で、そういうものだと思っていた。楽曲も。

 

 学生の頃エッセイ的なものとか書いてた時期があって(もちろん稚拙だけど)、でもアイデアが出て来た時って大概しんどい時だった。彼氏とうまく行ってたり勉強も快調な時とか、何か書こうと思っても、いいフレーズが全然浮かばなくて。俳優さんも人としての経験が演技に反映されたりするけど、歌詞も気持ちのこもったパフォーマンスも、そうだと思う。

 

 だとすると、あの歌詞を書ける重岡君、神山君、藤井君(多分他の皆もね)、相当辛かったんじゃないかと思う。少なくとも若者として経験しておくべき葛藤や苦い思い出や描いた通りにいかない人生に心折れそうになったことがあるのは、想像できる。デビューの時の事も、今は触れられないし触れる必要もないけど、その、触れる必要もない状態になったのが凄いと思う。だってちゃんと、「あの3人がいなかったらWESTの今はない」って断言できるぐらい、今のグループの骨子をしっかりと3人が形作っているから。作詞作曲振付歌ダンス演技、オールマイティな神ちゃん、ビジュアル面で、そして現在何よりライブのプロデューサーとして手腕を発揮している流星君、パフォーマンス技術の高さとバラエティでの爆発力、グループの輪をしっかり守るはまちゃん。4人はもちろんすごい。でも私この7人じゃなかったらグループの方向性も売り方もリリースする曲も違ってたと思うし、きっとここまで好きになることはなかった。

 

 思い通り行かず苦しいことや心ないことを言われた6年だったかもしれないけれど、今の素晴らしい楽曲やグループの総合力って、きっと踏まれて踏まれて揉まれないと生じなかったと思っている。どんなに彼らの人間性が元からよかったとして、ここまでパンチのある魅力はでなかったと思うから。人は褒められて持ち上げられたら幸せな気持ちになる。だけど、人が本当に変わるのは、貶された時だと信じてる。自分を振り返った時そうだったから。今でも覚えているのは、褒めてくれた人じゃない、ダメ出ししてくれた人。それによって変わった自分。彼らが変わり続けられるのは、この貶されたりダメ出しされたりする経験も、絶対に推進力になっているから。

 

 とはいえいつまでも悲しい気持ちではいてほしくないし、悲しみの向こう側に行って欲しいので、これから苦しむのは、演技における役作りとか、楽曲制作での産みの苦しみとか、そういうものであって欲しいな。