岡嶋かな多さんの「夢の叶え方はひとつじゃない」 を読んで。

 岡嶋さんは、多分そうだろうと思っていたけれど、本の冒頭を読んでやっぱりな、と思ったしそれを最初に書くところが、きっと私はこの本を好きになるだろうなと直感した理由の1つでもあった。

 

 

 こんなポジティブなタイトルの本の2行目が最強にネガティブで、その1行の文章が私の心を串刺しにしたからだ。

 

 

 彼女もまた自分に自信が持てなかった過去があって、沢山の挫折を経験した先に今があるのだと。この本を読んだって夢が叶うわけじゃない、そうはっきり書いていたことも、とても好きだった。

 

 

 愛ある言葉は素敵だけどリアリティーも必要。夢を追うのも叶えるのも失敗するのも主人公は自分。そして「夢」とはいえ、私たちは現実世界の中でその「夢」に形を持たせようとしているんだから。自分が自分の人生を生きるための参考書、心のバイブルのような本になると予感した。

 

 

 読んでみて、文章はもちろん素晴らしいんだけど、各チャプターの見出し小見出しがパンチのあるコピーライトのようで、それを見ているだけでもかなり楽しい。岡嶋さんの紡ぐ歌詞を考えたら当然のことなんだろうけど、心に残るフレーズを生み出す天才なんだなぁと改めて思ったよ。言葉の力ってすごいね。

 

 

 そして見落としがちなのだけど、表紙やタイトルの文字、中の文字の大きさもとてもいいなと思った。青少年に読んで欲しい気持ちが伝わる、手に取りやすい装丁で中の文章も読みやすい。最近読書をする子も減っているけど、普段活字に読み慣れない子でもこれはスッと入っていくのではないだろうか。

 

 

 普段ブロック体ゴリゴリの白地に黒文字ドバーンのビジネス書ばっかりある私の本棚に、とても爽やかで可愛らしい本が仲間入りして嬉しい。本棚が若返った気がする()

 

 

 この本には音楽の世界で夢を叶えたい人は特に現実的に参考になる部分がとても多いと思う。具体的に音楽に携わるお仕事の種類がリストアップされていたからだ。聞いたことがない、知らなかった職種もあった。

 

 

 音楽が好きだから歌手になりたいバンドをやりたい、もちろんそれも素敵だけど、好きだから、の後の選択肢にいろいろなものがあることを教えてくれる人はなかなかいない。知る機会も少ない。時々中高生からの相談コーナーがあって、その質問も具体的なものからざっくりしたものまでさまざま。回答は岡嶋さんの愛に溢れかつリアルで、とても参考になるものだと感じた。

 

 

 好きな事、得意な事、需要のある事。この3つの要素に関しても言及されていた。これは本当に永遠のテーマだと思う。

 

 お仕事もそうだけど家庭の事でもそう。家事や育児は100%需要のあることなんだけど、好きでも得意でもないんだよなぁ()、だから腰が重くなるんだろうな。その理由が分かったことにちょっと個人的にスッキリしている。需要のあることを少しでも好きになったり得意になれたりするように、工夫を(無理のない程度に)すればいいのだ。生活面でも良いヒントをもらえた気がした。

 

 

 著書の中で、岡嶋さんは自分自身を電車に例えて、「ネガティブ駅始発の、ポジティブ行き」とおっしゃっていた。この言葉がとても私に響いた。私もびっくりする位ネガティブ始発だから。もうドロドロの沼の底が出身で、もう沈む底がなくなったから開き直って上に向かって這い上がろうと決めた魚だから。

 

 

 私は今の自分が割と好き。壮大な夢はないけど、身の回りで叶えたい事もいくつかあって、目指すのを楽しいと感じている。そう心から思えるまでに40年以上かかったけど、でも人生のひと時でこの状況になれただけでも私には大きな変革だし奇跡なんだよ。

 

 死ぬまでにポジティブな自分に巡り会えたし、少なくとも昔より自分を愛せるようになった。友達も主人も家族も大好きだけど、今こんなにアクティブになった直接のきっかけは確実にWEST。

ラジオの悩み相談メールで淳太君に言ってもらったあるひと言のおかげ。

本当に感謝してる。

 

 

 もし子供の頃の、学生の頃の私に伝えてあげられるなれば、

 

ちゃんと自分を愛しなさい

自分の感情に向き合いなさい

 

そう伝えたい。これが出来ていたら、少し未来は変わっていたかもなぁ、そう思う。

 

 

誰も興味ないと思うけど()自分がいかにネガティブ人生を過ごしてきたか、次にちょっと書きます。書いて、供養したくなったから。